『生き物の常識、人の非常識』


ハワイに『シ−ライフパ−ク』という水族館があります。
数年前、その水族館で「イルカ大学」というセミナ−に参加してきました。
生態のレクチャ−を聞いたり、飼育環境を見たり、調教のサインを
教えて貰い、実際にイルカを動かしたりと内容はとても盛りだくさんでした。
はじめに見せられたのは、普段飼育の人達が居るという部屋でした。
プ−ルの横にある部屋には丸い窓があり、そこからイルカたちの様子が
観察できるようになっています。
コチラから観察できるのですから、むろん向こうからも観察できます。
好奇心いっぱいのイルカさん達はかわりばんこに私達を見に来ていました。
「イルカは水の中で生活している生き物だから、水中での姿をよ〜く
見ておいてね。ほら、とても綺麗でしょう♪」
一組が3人編成で4組が同じセミナ−として行動しますが、ジュディ−の
居た組を担当してくれていたエリザベスさんがとても素敵な笑顔でイルカの
尾の動きを説明してくれていました。
次に行ったのは、ショ−に出ているイルカを休ませるリラックスプ−ルのような
場所でした。
そこに巨大なゴムボ−ルを投げ入れると、イルカは尾っぽで
弾きかえしてくれるのです。
水はかかるは、イルカに意地悪されてあらぬ方へはじき飛ばされるは、
ハワイの炎天下、それでも楽しくて走り回りましたけどね。
たぶんアレはイルカの世界ではイジメだと思うんです。
次はいよいよ調教のサインを教えて貰います。
「手をこうしたら立ち泳ぎ。こうでおあ向けになって、こうすると握手ね。」
「で、指を唇にはさんで、ブルブルブル・・・・って、そう言うのは無いから」
さすがはジョ−クの国です、してやられました・・・。
さて、トレ−ニングプ−ルに向かうと、遊んでくれるのを待ちかねて、
サインも出してないのにイルカが飛びまくっております。
勝手に動き回るのをビシッ!と止めるのはさすがプロです。
パ−を差し出してジャンプさせた瞬間を、トムクル−ズ似の飼育員さんが
パチリ!と写真に撮っていきます。
後でわかったのですが、その写真は「イルカ大学卒業証書」に燦然と
貼られておりました。
さぁ、最後は見せ場の大ジャンプと言うところで、どうもウチのイルカさん、
『プナ』ちゃんという子だったのですが、急にご機嫌斜めになっておりました。
指示に従わず、プ−ルの縁から少し離れたところでプカプカしているのを
エリザベスさんが足でグイグイッと蹴りを入れます。
それを見て、うぁああ〜!イルカを足で蹴ってるよ〜!と思ったのですが、
後から考えてみると、裸足なんだし、手より足の方が長いんだから
それで正解なのですね。
どうも私は、足蹴にするとか、行儀が悪いとか、足だと虐待っぽい
イメ−ジが先にわいてしまうんです。
でも、イルカには、手だの足だのと言う区別があるわけ無いんです。
手が届かないからってそこら辺の棒でつつかれるより、足でグイグイされた
ほうが良いに決まっています。手で触られたのと同じなのですから。
手だの足だのって、なんだか私、つまらない事考えてたなぁ〜って、
そのとき、自分の中で生き物と接する時の気持ちの置き場を、少しですが、
良い位置に持つことができるようなった気がしました。
相手の都合でものを考えると、必要な優しさって、必要なとき、
当たり前に生まれるもんなんだと思えました。
その後、イルカを飼育しているエリザベスさんを見ていると、だんだん
イルカのお母さんぽく見えてくるから不思議です。
帰りに卒業証書を貰い、ヘトヘトになってホテルに帰りましたが、
気分は大満足♪これはもう一回行ってみたいセミナ−です。
機会があったら皆様、ご一緒致しましょう♪